総合格闘技には届け終わった。
あそこは師匠の奥さんがイベント好きだから道場自体は閉まっている。
裏口から入って回り、世間話もほどほどにして帰ってきた。
(この前顔出したばっかりだしね…)
油をさしたばかりのブレーキは変な音もせず、緩やかな坂を下り到着した。
いつものように、勢いよく扉を開ける。
「こんにちはーっ!!!」
しかし、沈黙があたしを包み込んだ。
「………開け方間違えた?」
そう思いもう一度外に出て開け直す。
ガシャーン!!
「しはーん!」
今度は上手く開けられた。
でも、あたりはシーンとしたまま動かない。
あたしの開け放った扉がミシミシという音しかしないのが現状だ。
「……あれ…?」
(おかしいな…。この開け方して出てこないことなんてなかったのに……)
仕方なく無言で扉を閉めて靴を脱ぎ、長い廊下に足を踏み入れた。
(……いないってことはないはず)
あたしは一つ一つの部屋を開けて回る。
扉が空いていたということは絶対いるはずなんだ。
でも、師範の自室にもいない…。
「かりんとう食べちゃうよ!」
ふいに叫んだこの言葉。
でも、良かったみたいだ。
あたしはずかずか音をたてて歩き、道場の中に入る。
そのまま突っ切り、奥にある小さい個室の前に立った。
(…間違いない…)
さっきの言葉のあと、ここから物音がした。
深呼吸をしてから、引き戸に静かに手をかけた。
「……………ここだあぁあーーっ!!!」
玄関を開けるときよりも力を加えてやると、
「「メリークリスマース!!!」」
「………っ!!」
パンッパンッ!
と耳に響くクラッカーから出たテープをあたしは思わず避けた。

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