ちぐはぐ遠距離恋愛




―――――クリスマス当日



土曜日の今日。

あたしはただ時計だけを見つめる。


「真白ー?何時からだっけ?」

「3時」


あと三時間だ。

行きたいような、行きたくないような…。
重苦しい気持ちを持って答えた。


「あー、何作ってこうかな」


母さんはウキウキしている。

凌は凌で持っていくゲームを真剣に選んでいるし、あたしは何もやることがない。

リビングのソファーにねっころがっているときだった。


「あ、真白!暇?」


キッチンから母さんが出てきて二つの紙袋を渡される。

あたしは時計からやっと目を移して起き上がった。


「これ、師匠たちに持っていってよ」

「うん」


毎年恒例のことだ。

クリスマスの日に道場を回りプレゼントを師匠たちに配りに行くのだ。

空手の師範にはもちろんかりんとう。
総合格闘技の師匠には餡蜜の詰め合わせ。

同じものばかりだが飽きることはないらしくいつも喜んでくれる。


「行ってきます」


ダウンジャケットを羽織りマンションを出た。

風が冷たく吹き抜ける駐輪場から自転車を取り出す。

冷えたサドルに跨がって、灰色の世界を走り始めた。