あたしの反応を見てドキドキしている奈緒美は気遣いからかあたしの頭に乗る雪を払いのけながら言った。
「…ご、ごめんね」
「…………」
「真白、怒ってる?」
「別に」
「怒ってるでしょ…?」
「……………」
「あっ」
あたしは無言で歩みを進めた。
奈緒美以上にドキドキしているのがばれそうだったから――――
霜焼けをしたように赤くなっているだろう顔。それを隠すように下を向いて歩く。
「真白……っ」
「先行く」
ぶっきらぼうになったのは心の表れ。
(ごめん奈緒美!)
そう口にださず謝りながら村野の前を通り過ぎた。
グイッ……
―――――「え?」
振り向いても、誰の顔も見えなかった。
ただし、
学ランは視界に入ってきたけど…。
(……な、んで…)
「なん、で……??」
心の言葉は今度はちゃんと出てきた。
あたしは上を見上げず、第二ボタンの位置を見ながら呟く。
(どうして?どうして?どうして?)
掴まれた腕に、熱が篭る。
目頭が熱くてなぜか泣きそう……。
「…あ、ごめん」
……………ごめん?
(ごめんって、何?)
何に対して謝ってんのかが分からない。
「んで…いけ…」
「は?」
「何で謝られなきゃいけないの?!」
「……や、別に」
顔を逸らされて、もっとえぐられた。
(そういう態度が嫌い!)
「言いたいことちゃんと言ってくんないかな?!」
「……っ」
ブチッとキレた顔をする村野。
「もう、離してよっ!!」

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.794/img/book/genre1.png)