俺はあいつへの想いをなくした。
俺一人の想いで、あいつの笑顔が見れなくなるならこんな気持ちはいらなかった。
ただ諦めることだけに集中した。
小学校が違うのは有り難くて、あいつと顔を合わすことも少なくなる。
そして俺は、あいつを好きじゃなくなったはず――――だった。
それなのに、
「諒太はねぇ、真白ちゃんが好きなの!!」
どういうことだ、これは。
(俺が、まだあいつが好き?)
目の前で顔を赤くしながら言う海来。
前は愛おしい存在だったこいつでも、今の言葉は信じられない。
「俺が…大野を?」
「無意識だったのね…?」
なぜかクスリと笑う海来だったが、冗談じゃなかった。
というよりそもそも、『無意識』の意味さえ分からない。
こいつを好きになって、あいつのことは何もかも忘れたはずだった。
どこかに落としてきた気もしたが、知らないふりをし続けた。
「でもそれは、たぶん違う」
「え?」
俺は頭の中に言葉を思い浮かべる。
自分を否定するためには、これしかなかった。
なくせた感情なら、今だって消えさせられるはず。
しばらく前に、しつこい鶏本という女子に言った言葉だ。
自分で言ったくせに後味は最悪だったが、今ではそれが支えにもなるはずだ。
(そう、俺があいつを好きになるはずがない)
だって俺にとっては……
「幼なじみは恋愛対象外」
そう決めたから。

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