何もできない。
俺はあいつを幸せにできない。
いつだって、泣かせて…怒らせて
そればっかりだ。
「おい、お前ら何かあったのか?」
「…いや、別に」
「でも明らかに大野、泣いてたぞ?」
「知らねえよ」
「知らないって「聞きたいのはこっちだよ……っ」
見つめていた空間が冷え込んだ。
自分が何をしたいのか、見当もつかない。
この感覚を、俺は知っていた。
真白は、兄貴が好きなんだ………
そう悟ったときと、同じだ。
あれは確か、小四のとき。
学校が別々になる前のときだ。
しっかりとした根拠なんてどこにもなかった。
いつのまにか、その考えが定着して俺の想いに穴を空ける。
兄貴は俺と違って、スポーツも勉強も出来る。
顔はどうか分からないけど、あの人のまわりに女子がたかるのを見るといいほうなんだろう。
何より、俺との一番の違いは―――
『真白ちゃん大丈夫?』
『お前はそれでも女の子なんだから、休んでていいんだぞ?』
『ほら、貸せ。俺が持つから』
――――優しいところだった。
あいつが惚れるのも無理はないと思っていた。
兄貴も真白の顔の可愛さを認めてるし、その想いにまんざらでもなさそうだったから、
二人が結ばれるのは時間の問題だったはず。
だから――――――

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