カラカラの心は、諒太の不器用さと鈍さのせいでヒビまで入っているはず。
嫌というほど我慢して、強がって…
真白ちゃんは一人で頑張ってきたんだ。
「あいつが幸せになるならって思ったから俺らは身を引いたんだよ」
鎌瀬くんは諒太から離れた。
「俺も、一年のやつも、コウ先輩も……。お前に預けたんだ」
真白ちゃんを好きな人は、鎌瀬くんだけじゃなかったようだ。
三人の人が好きになっても、それは叶わない。
「あいつが辛いときに、楽にしてやれたのは村野、お前だけだった」
いくつあっても足りない……。
そういうことじゃない。
いらないものはいくつあったって敵わないんだ。
真白ちゃんの心を癒すには、
いろんな人のたくさんの愛じゃなくて、
諒太の―――――
たった一人の、愛じゃなければダメなんだよね………?
「お前が幸せにしてやらなくて、他に誰があいつを幸せにしてやれんだよ!!」
諒太が真白ちゃんを幸せにしなければ、
真白ちゃんは幸せにはなれない―――
「諒太……思い出してよ」
あなたに何があったのかは知らない。
だけど、真白ちゃんを好きな気持ちを持っていることは絶対だ。
もうこの際、理由なんてものは関係ないよ。
「真白ちゃんが、好きなんでしょ??」
こんな大きい愛を、あたしの小さなもので壊してしまうのなら…
喜んで身を退く。
だから、
その想いをもう失わないで――――
〜海来 side〜 END