重なったあたしの声。
喧嘩なんてしたことなかったのに…。
「言ってみろよ!!俺は誰も好きじゃねー!」
「本当に、気づいてないの?」
「だから言ってみろっ!」
(はぁ?)
呆れてものも言えない。
こんなのあたしが言っても何も良いことはないと思う。
それでもやっぱり、あたしは彼が好き。
だからこそ、久しぶりにため息をついた。
「諒太はねぇ、真白ちゃんが好きなの!!」
閑静な住宅街に余韻が残る。
言ったこっちがなぜか恥ずかしくなってしまった。
日はもう見えなくて、空はオレンジから紺色に染まりつつある。
(……あ)
あたしの言葉を聞いた彼の顔は、さっきよりも険しくなっていた。
「俺が…大野を?」
悩みだすようにあたしから顔を背けた。
そしてヨロヨロと振り向く。
彼のこんな姿は初めてで、あたしは頬を緩ませクスリと笑った。
「無意識だったのね…?」
いつも真白ちゃんを見ていることも、
真白ちゃんの話になると体が動いたりすることも、
真白ちゃんが他の男と話しているところを見ては不機嫌になることも。
「もう、笑わせないでよっ」
顔を赤くして睨む姿は新鮮で、今までの苦い気持ちがスーッと消えていった。
「でもそれは、たぶん違う」
「え?」
彼は未だに納得できていない様子で言った。
「幼なじみは恋愛対象外」
ボソリと呟かれた。
あたしの心臓は反応する。

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