ちぐはぐ遠距離恋愛




榊原くんの腕が背中から外され、肩を掴まれた。

優しく押され、胸板から離れる。


「ところで先輩…」

「何?」

「先輩は、いつ告るんですか?」

「はっ?!///」


思わず声が裏返ってしまった。


「すいません。丸川先輩に聞いたもんで」

「優香子に?」

「先輩が、告白するつもりないってこと…」


申し訳なさそうに言ったもんだから、
もっと心に刺さった。


「…そっか……」


彩夏に言われたことが体中で響いた。

(あたしはあたし……)

たぶん、榊原くんたちみたいに笑顔でいられない。


「あと、先輩が十年以上も村野先輩を想っていたこと、も…」


短い間なら、平気だったかもしれない。

それでもあたしは十年以上あいつが好きだった。
それが事実で――――

前まではそんなに感じなかったのに、あいつが離れて行ってから過去が昔になっていくんだ。

――――あたしは、十年は“長い”んだと思う。

でも、あいつはそう想っていない。

そう考えるとまた壁を感じてしまって動けない。

せっかく、村野の手を取ったのに…あたしは動けない―――



「やっぱり…告白しない…かな」

「それじゃあ、俺の気持ちはどうなるんですか?」

「えっ」


逸らしていた顔を上げれば、真剣な榊原くんがあたしを見下ろしていた。


「俺だけじゃない…ですよね?真白先輩の幸せを願って身を引いたのは」

「あ……」


言われて初めて気がついた。

みんなはなんであたしを諦めた……?
その答えは分かっていたはずなのに。


「先輩が幸せにならないなら、俺たちはどうなるんですか?」

「………っ!!」



どうして思い出せなかったのだろう。

自分の気持ちだけ考えた行動が、“裏切り”につながるのなら、

やっていることは遥菜と一緒じゃない……。