(どうしてあたしはこんなに弱いのだろう)そう思ったのは涙腺が緩んだときだ。
榊原くんの声は、じわじわとあたしの中に流れ込んでいく。
答えは―――言うべきことは―――決まっているはず。
それなのに口は開こうとしない……。
榊原くんが腕に力を入れるたびに、彼のあたしに対する感情が伝わってきた。
あたしの前で榊原くんが息を吸った。
「真白先輩……」
(え…?)
その声を聞いて、思わず顔を上げた。
榊原くんの表情を見てまたドクンと脈を打つ。
(この人も……同じだ…)
榊原くんの告白は、“もう一度”なんかじゃない。
この前の告白と、今日の告白は全然違う。
言葉こそは一緒だけど、
表情も、その中に秘められた想いも―――
(最初の榊原くんじゃない……高杉先輩と、鎌瀬と一緒だ―――)
あたしとの恋に望みがないと思っているんだ……。
「…榊原くん…」
「…答えは分かってますよ」
(ほら、やっぱり……)
「それでも、先輩の口から言われたほうが吹っ切れるんで」
「……うん…」
前にも、高杉先輩に同じようなことを言われた。
「さ、先輩!そんな顔しないで言ってください」
明るい声で言われ、榊原くんの顔を見直した。
「…あの、榊原くん…」
「はい、先輩」
「榊原くんの気持ちは嬉しいよ?」
「うん」
「でも…ごめんなさい…」
「理由は、村野先輩?」
「………っ」
「俺のもんだと思ったのにな」

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