空はまた晴れていた。
そこには白い雲がまばらに並んでいる。
そして地面には後ろを向いた人影が揺れていた。
その姿を確認して、あたしは立ち止まる。
「……真白先輩」
振り向いたのは、榊原くんだった。
その瞳は、何かを分かっているようにしか見えない。
「…来てくれて、ありがとうございます」
「かおりちゃんに頼んだのは榊原くんだったんだ」
「強引、でしたか?」
「まさか。でも何でかおりちゃんだったの?榊原くんが来ればいいのに」
「それじゃあシチュエーションがないし、真白先輩ファンの加藤が行けば確実に先輩は来てくれると思ったんで」
「おかげで金が飛んでいくことになっちゃったんですけど」
と、榊原くんは苦笑いをして付け加えた。
「シチュエーション、って?」
あたしの質問に、榊原くんは目を開いた。
そのあとは、またすぐに微笑んであたしを見た。
「さすが先輩!」
そう言うと一歩だけ近づいた。
「今日は、もう“一度”先輩に話があるんですよ」
風が髪をなびかせた。
ニヤリと上で笑う榊原くんは、ゆっくりとあたしの背中に手を回した。
ビクリと揺れるあたしに、また榊原くんはおかしそうに笑う。
(この人…一年生?!)
ビックリするような場面に、あたしは目の前にいる人の年齢を気にしてしまう。
「先輩…」
小さく響いたその音と同時に、榊原くんの手で背中を押され、かれの胸に飛び込んだ。
そのままギュッと抱きしめられる。
「……っ?!///」
言葉も出なく、目が回るだけだ。
「もう一度…言いますよ…?」
「………っ」
また風が吹いた。
そして、
「俺は………真白先輩が好きなんですよ」
また一つ、恋が終わっていく………。

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