ちぐはぐ遠距離恋愛




――――そしてまた翌日


「真白先輩!」


可愛らしい声が聞こえて、あたしは振り向く。


「かおりちゃん!」

「せんぱーい…っ」


まるで子犬のような目であたしの元に駆け寄る。


「あの、今大丈夫ですか?」

「今?」


今は昼休みだ。

かおりちゃんを見た奈緒美は、あたしの背中を押す。


「行ってきな!」

「え?あ、うん。じゃあいこうか、かおりちゃん」

「はい!」


花のような笑顔を浮かべたかおりちゃんの後ろに立ち、あたしは教室を出た。

向かっているのは体育館裏らしい。


「先輩」

「ん?」

「かおりを、悪く思わないで下さいね?」

「は?」

「かおりは別に、あいつに利用されてるわけじゃないですからっ」


力強く言われ、あたしは目を点にしたまま曖昧に頷いた。

そして、かおりちゃんが急に止まる。


「ここからは、先輩が一人で行ってください」

「えっ?かおりちゃんは?」

「かおりはここまでです」

「何でよ。てか誰がいんの?」

「……すいません先輩っ、ケーキのためなんです!!」


かおりちゃんはまるでドラマのように切ない顔をして踵を返した。

そして走って行ってしまった。


「け、ケーキ?」


交換条件でも使ったのだろうか…。

あたしは考えを張り巡らせながら、体育館の裏に回った。