―――――翌日 放課後
あたしは一人、窓からサッカー部を眺めていた。
高杉先輩が引退してしまった今、あたしはその視線にやっと気づくことができた。
いつもは先輩で全然見えなかったこと。
先輩が言っていたことは、本当なんだと分かった。
「村野くんを見てるの?」
引退を数日後に控えた葵先輩が、隣に寄り添う。
ここから居なくなってしまうんだと思うとあたしは先輩を掴みたくなった。
葵先輩の質問には、喋らず、首を横に振って応じた。
「…コウがいないと…やっぱり静かだね」
先輩が「ふふ」と笑みを零す。
あたしも微笑みながら、「はい」と答えた。
向かい風が髪をなびかせて、それと同時に………鎌瀬が“また”振り向いてあたしを見つけた。
それはちょうどあたしが微笑んだときで、鎌瀬は目を丸くした。
(きっと、今までの中で初めて見たんだな)
つくづくあたしは無愛想なんだと思い返した。
「…で、誰みてるの?」
「え…?あー、……もう一人いたんですよ」
「何が?」
「“好き”ってのを教えてくれた人、…が…」
あたしの言葉に葵先輩は首を傾げたが、すぐに微笑んでくれた。
「…そっか」
前にも思ったけど、
もしも鎌瀬が、
あたしとの恋が叶わないと分かっていて…
あたしに告白する気はなかったとしたら…
それは、あたしと同じ――――
だから告白というものがどんなに辛くて、どんなに勇気がいるものなのか、
あたしは知っている。
それなのに、返事をしないなんて最悪のことはしたくないから。
鎌瀬にも、ちゃんと言わなければならない。
もちろん、榊原くんにも………。

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