本当は、本当は、
何回も思ったんだ。
(先輩を好きになれたらいいのに)
って。
それは、ただ単にあいつを忘れられるためだけなんかじゃなかった。
いつも側にいる人に、
愛されて、必要とされる。
それがどれだけ幸せで、嬉しいことになるのか……。
あたしは知っていた。
周りに男がいるなかで育ってきたあたしにとって、男なんてどうでも良くて、対して女子の友達と変わらない存在だったはずなのに――――
先輩に好きと言われたあたしは、今まで感じなかったものに取り付かれた。
それは、異性からの――男からの――
……………“愛情”
お父さんからの愛を感じていたのは、何年前?
物心がついたすぐで、まだ人の真似ばかりして、武道にしか興味がなくそっちの才能が開花したばかりの頃だ。
それから、一体何年たったのか。
あたしは、何年愛を貰ってなかったのか。
そんなことに、気づいてしまった。
先輩からの愛は、完全にあたしを狂わせた。
嫌なはずなのに、心の片隅でいつも先輩を探していた。
行動にこそでないが、一日一日を積み重ねる度に確実に大きくなっていた。
求めていた。
ただ必死に――――追いかけていた。
それがあいつからでなくても良かった。
―――――でも、
それに慣れてしまってからは、もうダメになった。
好きでもない人に愛されてこれだけ幸せなのなら、
好きな人に愛されたらどれだけ良いんだろう。
そんな、欲望としかいいようのない気持ちが支配した。

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.794/img/book/genre1.png)