あたしの話を全て聞き終わる前に、先輩はフッと笑った。
「…結局、ダメか」
「……すいません…」
「謝んなよ。真白ちゃんは悪くない」
どうして、こんなにも優しいのだろう…。
あたしは泣きたくなるような思いでいっぱいになった。
「俺が村野に勝てなかっただけだし、真白ちゃんがどれだけあいつを想っているのかが分かったから」
先輩はあたし以上に悲しい顔だった。
それなのに、言葉からはそんなこと微塵も感じさせない。
「先輩に…出会えてよかったです」
「…俺もだよ」
「先輩に…好きになってもらったこと、幸せでした」
「…そんなこと言われたら期待するぞ」
「先輩…ありがとうございます」
「…こちらこそ、愛させてくれてありがとう」
ポツリと、目から雫が落ちた。
優しさと慈愛に満ち足りた時間は、あたしにたくさんのことを教えてくれた。
人を愛すこと、
人に愛されること
あいつの大切さ、
愛の温かさ、温もり、
全部、全部……先輩のおかげだった。
首を振って、否定した。
「ありがとう、なんて…言わないで下さい」
「何でだよ」
「だって、あたし……何もしてない…っ」
(あたしが先輩にしたのは、期待させて、振り回して、辛い現実をたたき付けて……)
「先輩はっ…いろんなことしてくれたのに…っ」
そんなに笑顔で、優しい顔して
感謝を表さなければいけないのは、あたしの方なのに――――
「真白ちゃんのおかげで、俺中学生活楽しめた」
「……っ」
あたしは、先輩に愛されていた。
そんな中で、
「真白ちゃんは、何もしなくていいんだ。ただ、俺の中で存在し続けることに意味がある」
必要とされていることが、
何より一番嬉しかった………。

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