ちぐはぐ遠距離恋愛




満腹になったお腹をさすって、先輩は幸せそうに笑った。


「はぁー!目標達成!もう食えねぇ〜」

「あたしもです」


山のようにつまれた皿。
中には振り向いて驚く人もいた。


「また来ような、真白ちゃん!」


その言葉に、ドキリと心臓を動かす。


「あの……先輩。あたし、言わなきゃならないことがあるんです」

「えっ?」


首を傾げてあたしを見る。

目を逸らそうとしたけど、頑張って視線を動かさなかった。

(ちゃんと…伝えるんだ)


何から伝えるべきなのか整理も付かないまま、あたしは口を動かした。


「その…聞いてくれますか?」

「うん。聞くよ?」


その言い方に、あたしはホッと落ち着いた。


「あたし…やっぱり…」

「村野が好きなんです、とか?」

「えっ…」

「あ、真白ちゃんは『諒太』だっけ?」

「い、いえ…その……」


(感づかれてた…)


予想もしていなかったけど、あたしはもう一度落ち着いた。


「…先輩の…おっしゃる通りです」

「アオ情報だよ」


クスリと笑う先輩を見て、また安堵のため息をついた。


「諦めようとしたんだっけ?」

「はい…」

「…で、ダメだったのか」

「…あたし…先輩と一緒にいるときは、あいつのことを忘れられたんです」

「…………」

「だから、高杉先輩を好きになろうとしました」


誰にも言わなかったこと。

あたしは、先輩を利用しそうだった…。


「確かに、先輩はカッコイイですし、ドキドキだってします。でもそれじゃあ、先輩を利用するってことになるし…それに…」




先輩を好きになるまえに、また“諒太”があたしの中に戻ってきてしまったんだ…。