――――翌日
「『真白って呼んでよ』か…」
「へぇ…やるねー、真白も!」
「うぐ…っ」
優香子と彩夏の言葉にあたしは息を詰まらせる。
(別にそんなんじゃないのに……)
昨日のように目を逸らした。
「……ケホッ」
そして咳もする。
「雨の中帰ったんだっけ?風邪引いたんじゃん?」
「…大丈夫」
あたしは咳をしながら優香子の質問に答えた。
とはいいつつも、正直だるいのは確かで…。
あたしは悪寒から必死に堪えていた。
「でもさー、高杉先輩はどうするの?」
「えっ?」
「『えっ?』じゃないでしょ?!先輩に返事ちゃんとしたの?」
「先輩には……したはず」
そうだ。
先輩は諦めはしないとまで言ってくれたが、
あたしはちゃんと断った。
あれが先輩にちゃんと通じたのかどうかは分からないが。
彩夏には知らせてなかったのかも知れなかったから目を丸くしていた。
優香子は優香子で鋭い目つきになる。
「『には』…ってことは、他にいるの?」
「へっ?」
あたしは内心ヒヤリとした。
優香子の鋭さというか勘の良さには頭が上がらない。
「あー…それも言ってないっけ?」
それでもケロッとしたあたしに、彩夏が肩を掴み。
「なーにーも知ーらーなーいー!!」
「あ〜あ〜あぁ……」
グラグラ揺らされるあたしを見て優香子が彩夏を止めた。