――――――………
「大野さん…ってさ、隣のクラスだよ、ね?」
苦い想い出話を思い出して、あたしはまた舌が回らなかった。
諒太はこっちをフッと振り向く。
「そうだけど?」
明らかに、動揺している……。
「下の名前、…何て言うの?」
「…真白、だけど……」
あたしの背筋が、しゃんと伸びた。
思わず「真白…」と、繰り返す。
覚えていた。
忘れられるはずがない。
『真白ちゃんが来たぞー』
あの時と、同じ言葉。
―――――同じ音…。
「そっか…。仲良くなりたいな、どんな子?」
どうしてあたし、こんなことを聞いたんだろう。
自分でも分からなかった。
「男より男らしい…」
「えっ?」
「ちっちゃいのに運動神経抜群だし、頭もいい」
「…へ…へぇ…」
「学級委員にもなったみたいだけど…」
「凄いね…」
「小さいときから、変わんねーよ」
フッと笑った諒太をから、あたしは目を伏せた。
(こんな顔、見たことない…)
また、あたしは自分の愚かさを確認してしまう。
諒太を一番分かっているのは、あたしじゃないと―――
「よく…知ってるんだね?」
「…幼なじみだから、な」
「幼なじみ…?」
諒太の幼なじみは、優香ちゃんしか知らなかった。
「あぁ…」
「どれくらい?」
「十三年間くらい、ずっと一緒だった。前川[まえかわ]より長い」
「優香ちゃんよりも…」

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