生ぬるい雫が、頬を伝う。
次々と、静かにこぼれ落ちた。
『勝手に決めて、ゴメン』
「っ……」
口を押さえた。
視界までもが霞む。
『海来…』
「嫌だよ……」
なにかが突っ掛かっていた。
上手く言葉が出てこない。
それでも、あたしの思い、全部伝えなきゃいけない。
「あたしは、別れたくないよ……」
『…………』
「理由は何?遠距離だから?……他にはないの?」
『…………』
「黙ってないで答えてよ!一人で決めて、ズルイ…っ」
『……海来……』
「あたしはまだ、諒太が………っ」
諦める?
そんな言葉、どっから出てきたのだろう。
「……好きだよ………っ」
想いを伝えられないのに、そんなの不公平じゃない。
どうにか出来ないことだって、分かってた。
それでも、やっぱり知って欲しかった。
『海来、理由はもう一つある』
「聞きたくない…!」
卑怯でも何でもいい。
あたしは諒太のもの。
諒太はあたしのもの。
あたしが諒太のことを一番分かっているの。
『お前を、大切にはできないと思った』
違う、そうじゃない。
あなたがいなくなることのほうがダメなんだよ?
諒太は、あたしのことを分かってくれようとはしないの?
『今までありがとう。元気でな』
(待って……)
閉じた口の中でしか、響かなかった。
もっと言いたいことがあるのに……っ
『じゃあな、海来』
―――――プツっ ツーッツーッツーツ
あたしの恋は、こうして静かに終わりを告げた。

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