一度は、あたしのものになったもの。
あたしが一番、諒太のことを分かっている。
そう、思っていたの。
でも――――
(どうしてだろう)
この学校に来て、村野があたしと近づきたくなっているのに気づいたんだ。
それは『一回別れたから』
とか、
『皆の冷やかしが嫌だ』
なんてことじゃなかった。
だけど、まだそれしか分からなかった。
時は昼休み。
諒太は、先生の頼みであたしに学校案内をしてくれていた。
次ぎは図書室。
村野が数分前に閉まった扉をまた開く。
「んでここが図書室」
村野は比較的小さい声で喋った。
無神経なところがあるあたしは、そんな配慮はせず普通の声を出してしまった。
「へぇー、広いんだね!」
日当たり良好、
本の優しい匂い、
落ち着く空間。
「あたし図書委員になろうかなー」
そう冗談半分で言いながら、周りを見渡していた。
すると、死角となっていたカウンターからひょこっと頭が出てきた。
「あー、ここ図書室なんで静かにしてくださいね」
決してあたしたちの方は見ず、俯きながらぶっきら棒に言い放つ。
その言い方に少し刺を感じていた。
そして隣で、諒太が驚いた声を出す。
「大野」
「知ってるの諒太?」
あたしの質問に、「あ、あぁ」と小さく反応する。
もう一度、カウンターの方を見た。
視界に入る感じから、だいぶ背が低いんだと思う。
「へぇー、小さいねー!一年生?」
思ったことを迷わず口に出したあたしは決して悪気があるわけではなかったんだけれど……

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