〜海来 side〜
帰ってきた。
あたしが大好きな人のところに帰ってきた…!
お父さんの二度目の転勤が決まったとき、飛び上がりそうになった。
それから一周間後、お母さんとお姉ちゃんを残し、
あたしとお父さんだけ早く東京に戻ってきたんだ。
引っ越しの片付けもままならないまま、あたしは大好きな人が通う中学校に転入した。
家からは結構遠いけど、車通学の許可も得た。
そして、待ちに待った初日。
なんて運がいいのか、
あたしが学校についたのと、彼が登校した時間はピッタリだった。
昨日の夜遅く到着したばかりのお母さんの注意も聞かず、
あたしは駆け寄る。
「諒太…っ!!!」
広い背中。
後ろ姿だけでもかっこよくて、愛おしい。
周りの皆だけじゃなく、
諒太本人もビックリしていたけど、
あたしは気にしない。
諒太はゆっくり振り向く。
そして目を見開いた。
「海来…?」
あたしが来ることを知らないから、珍しく声が大きい。
「ただいま!諒太」
「何で…お前…」
「お父さんがまたこっちで仕事するの!詳しいことは説明するからさ、早く入ろう?」
「は?おい……っ」
諒太の意見も聞かず、あたしは組馴れた腕を掴んで引っ張る。
拒まれる隙を、作らないように――

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