不機嫌さMAXの顔で後ろを振り返る。
「あ、ごめん大野。鬼ごっこしてた」
謝ったのは陵本。
あたしから離れようとした陵本を(ちょっと待て)とあたしの頭が止めた。
だから腕を引っ張る。
ここは廊下だ。
小学校でも散々注意された通り、中学校でも決まりはある。
廊下は走らない―――これが基本だ。
なのに、こいつらは何だ?
「鬼ごっこ、だと?」
キランと目の端を光らせる。
鬼ごっこのルールは暗黙の了解。
鬼が『走って』追いかけ、その鬼から他は『走って』逃げる。
「おい陵本。ここはどこだ?」
「学校。何言ってんだよ」
「こっちのセリフだ!その鬼ごっこをやっているのはどこだって聞いてんだよ!」
「ろうか……です」
気づいたのか声が小さくなった。
「ろうか、そう廊下だよな。うん。あってるよ?……それで、おまえたちは何をしてたんだっけ?」
「鬼ごっこ…」
「廊下でのルールは?」
「うるさくしない」
「もう一個」
「………」
「わからないのか?」
気まずそうに目を逸らした陵本。
「み、見逃してください…」
「見逃す…だと?まずはこの学校でのルールを知ってからだな」
あたしは陵本と一緒に鬼ごっこをやっていた連中を睨みつけた。
哀れ、あたしに捕まった陵本を他人事のフリをしながらも様子をじっと見届けてあげていた奴らだ。

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