キッと顔を上げた。
(やっぱり…)
思ったとおりだ。
村野の隣に寄り添っていたのは、朝の転入生。
「あんたが転入生だかなんだかこっちは知らないんだけど」
「えっ?」
「お前さ、この学校入ってきたなら大人しくここのルール守れよ」
「な…っ」
「お前一人の我が儘で、あたしたちの図書室を汚すわけにはいかねーんだよ。分かった?」
「さっきからお前お前って……あんた一年生のくせに…っ」
「誰が、一年生だって?」
転入生が顔をあげた時にはあたしはもうそいつの目の前にいた。
「い、いつのまに…っ?」
「もういっぺん言ってみろよ。ちゃんと足元見てな」
三年生は緑、
二年生は赤、
一年生は黄。
もちろんあたしは赤だ。
「同い年っ?」
「そう、同い年」
「嘘…っ」
「小さくて悪かったなぁおい」
「あ、ごめんなさい…」
「謝る気あんならさ、最初からそうすりゃ良いんだよ」
「……っ」
「見た目で判断するな」
あたしはそれだけ伝えると踵を帰す。
もう一度だけ、振り返る。
村野を睨むために……。
「案内人ならその教室でのルールも教えてくださいね?
じゃあよろしくお願いしますね。む、ら、の、くん」
嫌みたっぷりに言い残す。
そして音を荒々しく立てながらカウンターについた。
無言で作業を再開するあたしを見た転入生は村野の腕を引っ張りながら出て行った。

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