「真白……」
「もう、平気だ」
あたしは少し足に力を入れながら立ち上がる。
笑いながら言ってるのに彩夏は心配することをやめず眉を八の字にしたまま。
「大丈夫だって」
「で、でも…」
「ほら早く教室戻ろう?優香子も」
「あぁ…」
「転校生かぁ。いいなぁー」
「真白……」
「本音本音。じゃあね」
あたしは教室の扉を開けながら彩夏たちに手を振った。
「あのさ!」
「ん?」
「あんまり、無理しないでよ?」
「は?」
「要するに、強がるなってこと」
優香子がニヤリと笑う。
「強がる…ね。うん、気をつける」
「今も、だよ?」
「今?今は強がってないよ。ただ…」
「「ただ?」」
「素直に、なりたいだけなの」
体の向きを変えながら、あたしは言いのこし扉を閉めた。
あたしが強がるのは、自分の意見を正直に言えないから。
あたしが小心者なのは、自分自信にも素直になれていないから。
―――そう思った。
強がるんじゃなくて、これからは強くなる。
そう決めたんだから、あたしはそれを貫き通すだけ。
奈緒美と舞、依弥も駆け寄って来てくれた。
同じようなことを言われたけど、免疫力がついちゃったみたいで全然平気だった。

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