それなのに、それなのに!
今はその人が恋しくて恋しく仕方ないんだ。
早くあたしのところに来て、嘘だって言ってほしい。
上から目線でも何でもいいの。
とにかく早く……あなたを見たい…。
いつもみたいに泣いてるあたしを優しく包み込んでよ。
『嘘』って、言いながらでいいんだよ?
この前みたいに抱きしめて………
なんていうのも言えない。
だってあたしは、強がりとかいて小心者と読むのが肩書きだから。
でもそんなこと、あなたは特区に気づいてくれてる。
だから、言わなくても分かってくれる。
そんな淡い期待を、持ってもいいですか…?
こんなにあなたの『嘘』を望んだことは初めて。
あの時以上だった。
でもまた、あたしは表に出さないから。
気づいて、早く。
助けてよ、村野…………。
二文字なの。
たった二文字で、あたしは今生きて行けるから。
薄い意味でもいい。
本当の『嘘』って意味を持っていても、あたしを騙すことになってもいい。
実際、今一番してほしいのはあなたの声を聞くことで………。
「っ……くっ……」
泣いてるあたしの存在を知ってもらいたいだけで――――
ねぇ村野?
あなたにとって、10年って短かったですか?
(あたしの幼なじみに………諒太に、戻ってきて…………っ)
こんなこと思うあたしは我が儘ですか……?
あたしは、
何を信じればいいの?

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)