先輩はちょいちょいっと俺に手招きをした。

耳を寄せるように近づく。


「最近の真白ちゃんはモテモテだから!そっちのほうも頑張ってね?」

「…は?!」


俺が意味をようやっと理解して顔を合わせようと動いたときには他の候補者の手続きを取っていた。

先輩は、最近モテモテ……か。


でもまぁ、そんなこと言われても言われなくても変わらない。

俺はいつも大野先輩を見てる。

好きにさせる、絶対。


だって、



「榊原くん頑張れ!票いれてやるから」



太陽のような明るさでこんな笑顔が作れる可愛い先輩を、




誰にも渡したくないから―――。






ここから、俺の初恋成就をかけた戦いは始まった。


まずは生徒会に当選すること。

先輩に、デキル奴だと思われる。



俺はやけに熱くなって被服室を出た。

まだ夏の暑さも残る廊下。


大野先輩の声をいつまでも探しながら教室へと足を伸ばした。




〜榊原side〜 END