ちぐはぐ遠距離恋愛




目だけじゃなく、顔すら合わせようとしない。

てか、マジで涙目だし。


―――(泣くなよ)


女子の涙はあんまり好きじゃない。

てか、泣かれると怒れないし……


「はぁ……」


深ーくため息をついた。


「分かったよ、分かったから泣くな」

「真白……っ」

「女子の涙は苦手なんだよ」

「わっ、男らしい!!」

「俺も言ってみたいそのせりふ!!」

「てか、お前が言える立場かよ」

「村野うるさい…っ!!」


あたしの頭に肘を置く。

そんでもってグリグリと回る肘。


「だから肘やめろ!!」

「うるせぇ泣き虫」

「泣き虫じゃない!」

「昨日俺に泣きながら抱き着いて来たのはどこのどいつだよ」

「わ〜っっ!!!!バカバカ!何言っ「「へぇー、抱き着いたんだ」」

「う………っ」


男子に加え、依弥や遥菜の視線が体中に突き刺さる。

ピリピリと痛い。
何か何もかもが痛い。


「実は大野って村さんのこと好きなんじゃね?」

「はっ?!」

「あー、ありうるな」

「ちょ……っ、あたしは別に!「正直になれよ」

「だからちが…「ヒューヒュー」


(お前ら……!!!)


「大野は村野のことがー……っ」


「好きじゃないですよ?」




後ろ、玄関の方から聞こえた低めの声。

あたしは勢いよく振り向いた。


「あっ…!!」


そして思わず声を上げる。