「別に誰が誰と手ぇ繋ごうか勝手だろ?」
「そうだけど!!違うの…っ」
「矛盾してるじゃないかよ!」
「だってだって……!」
「だってもくそもねぇ!あんなことして、あたしがどれだけ怖い思いしたか……」
その言葉で、遥菜が目を伏せた。
男子も、ハッと気づいた顔をする。
「それ……は…っ」
「鶏本」
「むら、の?」
遥菜とあたしの間に立つ村野。
あたしにだだっ広い背中を見せつけて…、遥菜に顔を見せる。
「諒太……」
「昨日のことは、お前か?」
「…っ」
また口をキュッと結ぶ遥菜。
「俺の幼なじみ、泣かせたのはお前か」
「でも…っ」
「でも――、何だ?」
久しぶりに聞いた、村野の低い声に、鼓膜が震えた。
芯と深みのある声に、あたしは一人息がつまる。
「真白なんて、嫌い!」
「はぁ?」
どっからその話が出てきたんだ?
「人の彼氏とって、何が楽しいの?!」
(人の、………彼氏? )
要するにそれは、遥菜の彼氏である村野を、あたしがとった。
ということであろう。
(でもあんたが…)
「あんたがそんなこと言える立場かよ」
村野を退かして遥菜の前へ。
その距離は凄く近い。
衿元を掴んで、グッと上にあげる。
「いい度胸だな…?
正々堂々とかかってこいよ、おい」

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