ちぐはぐ遠距離恋愛




「………っ」



あたしはすぐさま顔を逸らす。

これ以上、こいつを見てたら心臓が壊れそうだ。

未だに視線を感じるが、全力で無視をする。


途端に、影があたしにかかった。




パンッッ!!!!!



「いっ……」



ジンジンと痺れ出す左頬。

感覚が麻痺したようになっていく。



「……ざけんなよ」



あたしは頬を押さえながら顔を上げた。


依弥も、陵本も山内も、鎌瀬も市之塚も村野も。

あたしを見る。



そんなあたしは少し首を上に向けながら遥菜の方を見る。

必死さが伝わって来るのは、涙目で顔が赤いからだろうか?


とにかく、何であたしがなぐられにゃいかんのかがわからない。



(てか、ケンカ売ってんの?)


そーゆー、ことなら……



「上等だゴラァ!!」



あたしの声が狭苦しい教室に響く。

もう、限界。
あたしは十分我慢した。

すこしでもこいつを信じたあたしが馬鹿だったことはよーく分かった。

確かに、そこは悪い。


だけど、


だけど―――――




「他にあたしが何をしたって言うんだよ?」




低めのトーンで睨みつけるから、村野以外の肩がピクリと動く。

手加減なんて、今回ばかりはしないんだから。