ちぐはぐ遠距離恋愛




遥菜は悔しそうにあたしを睨む。


「真白ばっかりに、構うから」


今にも泣きそうな顔で。


(この人は、本当に村野のことが好きなのかもしれない)

何となく、分かった気がした。


同じ人を、好きになった身として―――



「諒太は、あたしの彼氏なのに…っ」



陵本たちがその言葉に声を出している。

どうやら、知らなかったらしい。


朝の早さが、嫌な沈黙を引き寄せる。



「なのにっ、いつも真白ばっかりで…!!」

「えっ?」



ドキリと跳ねる心臓。

まるで、恋をしたときのようだった。
そんな感覚に、そっくりで………



あたしは息をのんで村野を見る。


(なんで、そんなにめんどくさそうな顔をするの?)


眉間に皺を寄せて、ため息が今でも零れそう。


なのに、




――――――なのに。





なんであたしと目があった瞬間に、





フッと口角を上げて、









そんなに優しく








あたしに微笑むの……………?