本当は、その理由が分かってる。
でもそれを言ってしまったら、あたしの中でこんがらがっていた糸が解けてしまう。
確信につながるそれを、あたしはできれば言いたくない。
どんなにちょっと何をしだすかわからない遥菜でも、この人はこんなことをやらない!
―――――って、思いたい。
あたしは口を閉じてきつく縛った。
「何でお前が知ってんだよ」
村野が睨むように言う。
「聞きたい……?」
口元に手を当てて、口角をあげる。
この人は、同い年?
あたしのクラスメート?
あたしの友達?
鶏石[とりいし]遥菜?
頭の中をたくさんの疑問が駆け抜けて、
村野の質問と、遥菜の質問を全力で否定するんだけど……
「あたし、ずっと見てたの」
その言葉で、絡まった糸に隙間が出来た。
遥菜と村野はそれを器用に解いていく。
「いつからだよ」
「最初っから」
「何でお前がそこにいたんだよ?」
「たまたま通り掛かった「嘘つけよ」
遥菜は眉間に皺を寄せる。
ため息をついてから、拳が作られた。
「村野が……諒太が悪いんじゃない」
(諒、太………?)
一瞬、暗雲が差し掛かるけど
(そっか、この人たち付き合ってたんだっけ)
って納得。
自然な、ことなんだ――

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)