ちぐはぐ遠距離恋愛




本当は、その理由が分かってる。

でもそれを言ってしまったら、あたしの中でこんがらがっていた糸が解けてしまう。

確信につながるそれを、あたしはできれば言いたくない。

どんなにちょっと何をしだすかわからない遥菜でも、この人はこんなことをやらない!


―――――って、思いたい。



あたしは口を閉じてきつく縛った。



「何でお前が知ってんだよ」


村野が睨むように言う。


「聞きたい……?」


口元に手を当てて、口角をあげる。

この人は、同い年?
あたしのクラスメート?
あたしの友達?
鶏石[とりいし]遥菜?



頭の中をたくさんの疑問が駆け抜けて、

村野の質問と、遥菜の質問を全力で否定するんだけど……


「あたし、ずっと見てたの」


その言葉で、絡まった糸に隙間が出来た。

遥菜と村野はそれを器用に解いていく。


「いつからだよ」

「最初っから」

「何でお前がそこにいたんだよ?」

「たまたま通り掛かった「嘘つけよ」


遥菜は眉間に皺を寄せる。

ため息をついてから、拳が作られた。


「村野が……諒太が悪いんじゃない」


(諒、太………?)


一瞬、暗雲が差し掛かるけど
(そっか、この人たち付き合ってたんだっけ)
って納得。

自然な、ことなんだ――