「でもな、その後の大野はいつもの大野じゃなかったぞ」
山内がニヤリと笑う。
「は?」
「女の子みたいだった」
「いや、女の子だから」
「違うんだよ。泣いてたし」
「わっ……最悪…」
一生の不覚―――
まさか泣き顔を見られるなんて…っ
「そこにな、村野が現れて……」
「あぁ……っ!!」
(まさか、こいつら、あのことまで!)
村野も目を丸くする。
「優しく大野の手を握ってさー、『もう大丈夫だ』なーんて言っちゃって」
「「ちょっと待った!!」」
あたしと村野、二人でその話を止める。
「それ以上言うな」
「そう。おしまいおしまい!」
「ダメ!聞きたい」
「依弥!!聞かなくていい!」
「大野が『怖かったよー』って泣き出して「あぁああぁあ!!!」
あたしは両耳をふさぐ。
(やだやだやだ!!思い返してみれば恥ずかしいじゃん!!)
「諒太って呼んだし」
「それは癖で……!!」
「仕方がないでしょ?」
そう言おうとした。
だけど、明るい声が被る。
「でもそのあと、一緒に仲良く帰ってたよねぇ…?」
「「あ゛?」」

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