(なんで…………?)
「ぁ……はる、…な……?」
絞りだしたような声が喉から出た。
「ごめんね?真白」
それはまるで悪い魔女のように笑った遥菜。
諒太はその手を握りかえした。
キュッと、強く握りかえした。
それと同時に、同じような力で締め付けられたのは―――心。
「諒、太…?」
「こういうことだから、諦めて」
(あ…きらめ…る?)
「意味わかんないよ…」
意味が、わからない。
だから諒太。
分かりやすく説明してよ。
それがどういう意味なのか、説明して…。
これは嘘で、ドッキリだって、
今すぐ説明してよ……!!
だけど、
あたしの願いなんて言葉にも出てこなかった。
「俺、遥菜と付き合ってるから」
「あたしが…諦めるのね?」
諒太は無表情で頷いた。
(諦められるわけ……)
「…け、ないでしょ…?」
こぼれそうになる涙。
「ど…して……ダメなの?あたしは…っと見てきたのに……?」
どうして?
どうして?
何がいけないのよ……。
十年間の、あたしの、切実なこの想いはどうしてくれるのよ……。
「それは……」
あたしはキッと顔をあげ睨みながら言葉を待った。
「幼なじみは恋愛対象外」
ねえ、神様。
全てを教えてほしい。
こんなの
不公平だよ。
不公平すぎるもん。
その瞬間、床がガコッと抜けた。
「ひゃ……っ!!」
(諒太…………)

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)