まぁさっきもいった通り古い建物でもあるから、乱暴に使うと何が起こるか分からない。
「あんな開け方をするのはお前さんたちぐらいだったから、生徒の誰かが覚えちまったかと思ったよ」
「はは…。すいません」
それなのにあたしたちはあんなふうに扉を勢いよくガンッと開けるのだ。
師範にいつも怒られるんだけど、癖になっていて治らない。
「それもこれも、ノリのせいだがな」
「そうだよ……って!」
自信満々に言ったあたしの頭を師範が叩く。
「それを真似するお前ももちろん悪い!」
「でもあれは父さんがあたしの前でやるからだよ!三歳に真似するなと言えない師範も師範!!」
「なんだとー?中学生になっても治らないお前に言われてたまるか!」
「そんなの父さんに言って!」
「あ、ノリと言えば…先月顔を出したよ」
「えっ……?」
師範が言うノリというのは、
大野 宣翔 [おおの のりと]
あたしの実の父親だ。
親子二代に渡ってお世話になっている。
だからこの道場で師範にタメ口を聞けるのは父さんとあたしだけ。
もちろん、稽古の時は敬意を持って敬語だ。
そこら辺の区切りはちゃんと存在している。
ともかく、父さんが来た??―――ここに、道場に??

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