目をギュッとつぶる。
「大野…」
「は?」
耳に入ったのは、『大野』だった。
(ちょっと…待って?)
いつから、こいつはあたしのことを苗字で呼ぶようになったの?
小さいときは、そりゃあ『真白ちゃん』だったけど、
それからは『真白』だったよね?
ずっと、ずっと…
あたしを『真白』って呼んでくれてたよね??
(なのに………)
なのに、何で?
「もういいよ」
『もういいよ』って何よ。
言葉もでないあたしの横からタタタッと軽快に走り抜けてきた人影。
その人は、
あたしが何年も何年も追いかけて、
求めて………。
信じてきたその手を、
軽々と、自然に握った。
(ちょっと…待って…)
思考が追いつかない。
諒太の隣にいるのは、紛れも無い………遥菜。

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)