気づいたら柴田のおばさんもいない。
あたしたちの終わらない口ゲンカに呆れて退脚したんだろう。
昔っからだからなぁ、
あたしたちのケンカは。
ここら辺の近所の人は皆知ってると思う。
「てかさ、今何時?」
コロッと話題を変えるあたしもまた有名。
「しらねーよそんなん」
「あたし帰らなきゃ」
「おー帰れ帰れ」
しっしっと手をぶらぶらさせる村野。
「村野もこっちでしょ?ほら帰るよ」
「村野……?」
「え?あたし今なんか変なこと言った?」
(全然そんな記憶はないんだけど)
でも村野も「いや別に」と首を振る。
「じゃー行くよ?」
「何で俺まで」
「送ってよ」
「は?!」
「か弱い女の子を一人で帰らせる気??」
「どこにか弱い女の子がいるんだよ」
「あんたの目、大丈夫?」
「お前の目こそ大丈夫?そんなんじゃ全然俺の目の保養になんないんだけど」
「まじ死ねば良いのに」
「母さんに嘘はつくなって教わったんだよ」
「か弱い女の子見捨てるんだ」
「まだそこかよっ、か弱いってのはな、バド部のかおりちゃんみたいな子を言うんだよ」
「えっ?」
(今、なんて?)
「そんなかおりちゃんをサッカーボールから間一髪で蹴り飛ばして助けるような勇敢な女子はか弱くない!」
いや、自信満々に「ない!」ってズバリと言い切られたけどさ、
あたしのあれ、見てたの?
「知っ、てたん、だ…」
「学校中の噂になってたぞ」
「あ、そう……」

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.795/img/book/genre1.png)