数分後。
まるで夢から醒めたように、あたしはハッとした。
「えっ……」
(あれ?……あたし、何し、て……)
頬に今まで当たっていた髪の毛から離す。
目を空けて、
膝でしっかりと体制を立て直すようにした。
そうすると、ちょうど顔の高さが一緒になっ、
――――て…………?!?!
「ひゃあっ!!」
状況が分からない。
何で、
何であたし村野に抱き着いてんの?!
パッと腕と体を離して、後ろに手をつく。
「やっ……えっ、と、あの……これはっ」
目が回る。
(と、とにかく言い訳!言い訳!)
必死に頭を動かす。
「その、ごっ…ごめん!」
口から出たのは謝罪だった。
それでも、表情を変えない村野に焦りを覚える。
「これは…っ…、えっと………あのね?り、理由がちゃんと……っ」
ヤバい!
舌も回らない!!!
ヨロヨロと立ち上がる。
その時、さっきの記憶が蘇った。
あたしの上で移動する手。
口に当てられた息苦しさ。
太ももに触れたときの、あの嫌な感覚。

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