ちぐはぐ遠距離恋愛




声もでない。

まるでその機能を忘れたみたいに……。


「おいおい」


陵本が焦っている。


荒い息遣いで、呼吸をするのは精一杯。



(どうしよう……)



自分が自分じゃないみたいだ。

夏の暑さなんか知らないくらいに冷や汗が全身から湧き出る。


「…………っ」



涙が一筋、目から落ちた。

それを合図のように、次から次へと流れていく。



鎌瀬と山内をどけるようにして、影が近づいた。


「ったく………」


小さくそう呟いて、あたしの手を取る。

そして大きい両手で包み込んだ。


「もう平気だ」




そう言いながら。




なんて、




なんて温かいんだろう――――





優しくて、優しくて…。





男の手がどれだけ汚くて、温もりがなくて…



怖かったのかが、すごいよくわかる。





「ふっ……えっ」