誰もいない、静かな部屋。
電気も点けていないそこには明るい太陽の光が差し込んでいた。
お母さんと、あたしと凌。
お父さんは八年くらい前に離婚したためいない。
でも時々会わせてもらっている。
まぁそんなこんなで三人暮らし。
しかも小さめの男一人に女二人だからさほど場所はとらない。
だからアパートよりのマンションだ。
部屋は2LDK。
広い方にあたしとお母さん、狭い方は凌が一人。
あたしはリビングも通らず部屋に入った。
窓のすぐ側にある勉強机は比較的片付いている。
分厚い教科書が何冊も入った重たいバックをズルリと肩から降ろし、てきとうに放り投げた。
そしてベッドに、ダイブ。
「はぁ………」
体全体をふわりと包み込むこの感覚が好き。
「あ…」
あたしは帰り際保健医に言われたことを思い出しフラフラと立ち上がった。
リビングに入り、大きめのマグカップを出す。
冷蔵庫に入っていたお茶を取り出しゴポゴポと豪快に注いでいく。
何時間もかけて冷やされたお茶はキンキンで、気持ち良く体に吸収された。
飲んでしまった分をもう一度注ぎなおしてキッチンに置く。
制服に入っていたハンカチを水で濡らして、またマグカップを持ち部屋に戻った。

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