ちぐはぐ遠距離恋愛




あたしの質問には答えず、ただ用件だけを聞いてきた。


「高杉先輩から、これ預かった」


そう言って腕に抱えていた本を差し出す。


「高杉先輩から?」

「あれ、貸してたんじゃないの?」


あたしの言葉に代李は眉間に皺をよせた。

本を受け取ろうと伸ばす代李の手が途中で止まった。


「高杉、先輩は?」

「えっ?」

「何で真白が返しに来るの?あたしは高杉先輩に貸したんだよ。高杉先輩は?」

「あ、いや…。時間がなくて来れないから…」


さすがに、
「先輩は代李が苦手で来れないんだよ」
とは言えないし…。

仕方なく嘘ついた。

でも上手くできなかったみたいで、代李は納得してないみたい…。


あたしから目を逸らしながら、
本を強引に受け取った。


その行動に、カチンときた。

(何いまのやり方…)


代李を睨むけど、あたしを見ていない代李は気づいてない。

そして礼も言わずにあたしの前から席を立った。



(い、意味わかんねー!)


机をバンと叩きながら立ち上がるあたしに皆の視線が注がれる。