ちぐはぐ遠距離恋愛




先輩はまたあの笑顔になって…




「ありがとう」



あたしの頭を撫でた。


息がつまる…

そんな思いで先輩を見上げる。


するとハッとした顔をして、

ギュッと先輩が覆いかぶさった。


周りの温度が上がる。



あたしの体はまた震え出す。


「だから……」

「えっ?」

「抱き着くなぁあぁあ!!!!」



あたしの力で吹き飛ばされた先輩。

そんな先輩をあたしは本を抱えながらしゃがんで見下ろす。


「ったく、何回言ったら分かるんですか?!」

「……すいません」

「謝ればいいってもんじゃないです!」


パンッと先輩の頬を叩いてあたしは立ち上がる。

そしてまた先輩をその場に追いてあたしは教室に戻ったのだった。



「まっしーお疲れ様」

「うん、本当にめんどくさい」


舞の顔を一瞬みた後、教室を見渡す。

探しているのはもちろん、代李。


「あ、いた」


見つけた代李から視線をそらさず近づいた。


「代李、あのさ」

「……何?」

「えっ」


あたしに呼ばれて返事をした代李はいつもと違った。

睨むような冷たい目に、
冷たい言葉。


「なんか、あったの?」

「真白はどうしたの?」