ちぐはぐ遠距離恋愛




それも必死に。


「加藤なんかじゃなくてかおりでいいです!」

「は、はぁ…」


(こんなにせ、積極的な子もいたんだ…)


「じゃ、じゃあかおりちゃんで」

「はい!!―――あ、もう三階だ!じゃあ真白先輩、また今度!」


三階には一年生と三年生の教室がある。

ちなみに二年生だけ四階だ。


かおりちゃんは嵐のように去って行った。


「あ、慌ただしい子だね」


舞が呆気にとられたように呟く。


「可愛いのに、ビックリ」


奈緒美は何でそんな切ない顔なん?


「いい子なんだけどねー」


依弥は苦笑い。


「かおり、ちゃん」



何だか聞き覚えのある名前。

(どっかで、あたし聞いたな)


思い出せない―――



「ねぇ依弥、かおりちゃんってなんか有名?」

「は?いや、そんなことはないけど」

「じゃーどこで聞いたんやろ」



記憶が曖昧なまま、授業は始まった。