「先輩……っ」
「ん?」
「あの、見てますから」
「えっ」
「頑張れ…」
小さく、呟くように。
あたしはなぜか熱を持つ顔を伏せて言った。
大きな手が、頭を包む。
「あぁ」
心臓が、上に引っ張られる。
村野とは違う…。
村野とは違う、安心感。
あたたかさ――――。
子供のように笑った先輩の笑顔が、鮮明に記憶されていく。
走っていく先輩を、いつまでも目で追うあたしがいる。
『新しい恋でも見つけたら?』
彩夏の声が響いた。
「新しい、恋……か」
動きはじめた歯車。
たぶんそれは、
止まることを知らないんだ。

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)