ちぐはぐ遠距離恋愛




食べ放題、連れてってもらったし。

葵先輩が実際こんなのになったら困る。


鎌瀬にも頼られちゃったからなぁ……。



(一肌脱ぎますか!)



サッカー部が通っていない間にあたしは楽器を視聴覚室に入った。

椅子に置いてから廊下に出る。


「大野…」

「あ、鎌瀬」

「やっぱり、嫌?」

「へ?…あ、違うの!!ただ本当に先輩が変だったことを確認してた」

「そっか。よろしく」


こんがり小麦色の肌に、ニカリと笑った時に見える白い歯がよく映えた。


「うん」


頷いたあたしを確認するように、また鎌瀬は走り出した。


「あ!ねぇねぇ、大野真白ちゃん?」

「えっ?」


鎌瀬の後に、ポニーテールを揺らした女子が曲がってきた。


「あ、っと…汐那[しおな]先輩?」

「あたしのこと知ってるの?」

「実奈先輩がよく話してたので…」



サッカー部には、女子部員が一人だけいる。

福富 汐那 [ふくとみ しおな]先輩。


小さい頃からクラブにも入るくらいのサッカー好きらしく…、

実奈先輩がよく窓から顔を出して汐那先輩と話していた。


「なるほどー!」


背の高い先輩をあたしは見上げる。



(かわいい…)



「頼みが、あるの…」