おかげで進めないし。
クラを持ったままサッカー部が通り過ぎるのを待った。
少しして、鎌瀬が通った。
「大野!あと少しでコウ先輩来るから」
「えっ」
そういって廊下の向こうに消えていく。
視線を戻したときには、
「ファイオー……」
「先輩、声小さいっすよ?」
高杉先輩。
に続き、―――村野。
「三周目ぇ……」
「先輩これ、四周目」
(間違ってるじゃん…)
本当に、先輩はおかしいらしい。
声小さいし、フォームぐだぐだ…だし。
あたしの顔見た瞬間。
「ま、しろちゃ…ん」
ピタッと止まっちゃって、
村野が先輩の背中に激突しちゃうし。
自分で目逸らすし……。
「あと、七周……」
「あと六周!!!」
そのまま走り始めた先輩はまた間違えて、
後ろの村野がそれをフォローしるように事実を叫ぶ。
「そりゃ困るか…」
先輩たちが通り過ぎた後を見ながら呟いた。

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