「おい、お前ら何かあったのか?」
「…いや、別に」
「でも明らかに大野、泣いてたぞ?」
「知らねえよ」
「知らないって「聞きたいのはこっちだよ……っ」
あのあと、そんな会話があったらしい。
諒太が、
村野が何でそう言ったのかは結局わからなかったけど。
溢れ出た涙は、自力でとめた。
こんなことで泣いて、どうするの?って。
村野を忘れるんでしょ?
それなら大嫌いになった今が、好都合だ。
そう言い聞かせた。
数十秒後には頬を伝う涙も渇いていて、あたしはトイレから教室に戻った。
「真白、どこ行ってたの?」
「ちょっとトイレ」
あたしは奈緒美にそう答えながら席につく。
隣が山内とかじゃなくて、陵本でよかった。
と、心の底から思った。

![100日愛 [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)