ちぐはぐ遠距離恋愛




「おい、お前ら何かあったのか?」

「…いや、別に」

「でも明らかに大野、泣いてたぞ?」

「知らねえよ」

「知らないって「聞きたいのはこっちだよ……っ」



あのあと、そんな会話があったらしい。


諒太が、
村野が何でそう言ったのかは結局わからなかったけど。




溢れ出た涙は、自力でとめた。



こんなことで泣いて、どうするの?って。

村野を忘れるんでしょ?
それなら大嫌いになった今が、好都合だ。


そう言い聞かせた。



数十秒後には頬を伝う涙も渇いていて、あたしはトイレから教室に戻った。




「真白、どこ行ってたの?」

「ちょっとトイレ」



あたしは奈緒美にそう答えながら席につく。

隣が山内とかじゃなくて、陵本でよかった。
と、心の底から思った。