「…んなこと……」
(そんなこと、あんたに言われなくても分かってる)
分かってるのに。
あんたに一番、
(言われたくなかったのに……)
「…きな、…わよ…」
(大きな、お世話だよ)
「あんたなんか………っ」
涙が溜まりだす。
こぼれさせまいと斜め上を向いた。
身長的にも、目が合う。
君の顔が、
ぼやけだす。
「……らの、なんか…っ」
「んだよ…」
「…っ、村野なんか、大っ嫌い!!!!!」
バチン…ッ…!!!!
これまで以上に強い力でひっぱたいた。
「どいて!!」
前にいる村野を力強く押してあたしはロッカー室を駆け出した。
(大っ嫌い…)
大っ嫌い、大っ嫌い、大っ嫌い!!
あたしが『村野』って呼んだとき、
少し目を見開いた。
でも、
それだけだった―――――
あたしはあんなにショックだったのに…っ、
あいつは目を見開いた、
ただそれだけだった………

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