「ったくもう!ちゃんと説明して!!」
下を向いて吐き捨てる。
「だからなぁ」
その低い声にあたしは顔を上げた。
さっきまで面倒くさそうにしてた村野が口を開いたから。
あたしはごくりと唾をのむ。
「何でわかんねーの?」
「ひゃ……っ」
後ろの壁に片手をついてあたしに覆いかぶさるような形になる。
ほかの三人に見えるのは村野だけ。
村野に見えるのは、たぶんあたしだっけ。
あたしの視界に映るのは…“諒太"だけなんだ。
村野に映るのがあたしだけだと思うと、一気に熱が上昇。
身長の低いあたしの背中にあたるのは、ロッカー。
目が、逸らせない―――
もう、後には引けなくて…。
あたしは村野の目をみることしかできなかった。
「な、んだよ」
「好きなんだよ」
「……えっ??」
ドキリと高鳴る心臓。
「今、なん「コウ先輩はなぁ、お前のことが好きなんだよ」
「…………っ」
凄い、嫌だった。
自惚れた、あたしにもだけど…
それだけじゃない。
あたしは、
諒太に言われたことが――
『コウ先輩はなぁ、お前のことが好きなんだよ』
諒太に、そう言われたことが――――
凄い、
―――――嫌だったの……っ

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