「まーしろちゃん!」

「高杉先輩…」

「だからそんな嫌そうな顔すんなって」


先輩は相変わらずあたしを見かける度に話し掛けて来る。

葵先輩の幼なじみだから――と言っても…



「ねぇ真白ちゃん!」

「だから何でここまでついてくるんですかっ!」


周りには高杉先輩をハートの目で見る女子に、
あたしたち二人を怪しげな視線で凝視してくる男子。

さっきの教室移動の時にばったり会ってしまった。

それから舞を退けるようにあたしの隣に並んでのこのこ のこのこ二年の教室までついて来たのだった。


「舞があたしの隣なんです!

先輩は自分のとこに戻ってください!」

「えー、嫌だね」

「は?」


廊下のど真ん中で抗議するあたしたち。



「授業も始まりますよ?先輩の居場所はここじゃないでしょ?」

「何言ってんの?」


先輩は眉間にシワを寄せてあたしの隣にくっついた。


「ちょ…っ!「俺の居場所は真白ちゃんの隣だから」



「な゙………っ!!」




しれっと何事もなかったように口にした先輩を思い切り睨む。


(先輩はいいけど、周りにはあたしの知り合いがたくさんいるんだよ??)


これで先輩が帰ったあとを想像するとため息が後を絶たない。


「はぁ……。先輩」

「ん?」

「ん?じゃなくて、本当に離れて頂けますか?」

「嫌だって…」

――「……り…すよ?」

「え?」

「怒りますよ?」