声をあげた。
「―――えっ」
あたしの反応に実奈先輩がこっちを向いた。
「真白ちゃん、知ってる?村野くん」
「あ、はい…」
目を逸らした先には、葵先輩の丸くなった目と合った。
(…知ってるどころじゃ、ありませんが)
「同じクラス?」
「いや……違いますよ?」
「そっかー。あ、メアド持ってる?」
「え゙っ」
「持ってるなら、くれない?」
(どうしよ…)
葵先輩が「あちゃー」と顔に手を当てた。
本当は、教えたくなんか―――
ないに決まってるよ。
でも、
あたしは…彼女じゃない。
あたしは…諒太の幼なじみだから。
恋愛、対象外の……あたしだから。
「持ってますけど、諒…村野に聞いてみてからでいいですか?」
「ほんと?!」
実奈先輩が飛び跳ねた。
「ありがとう!真白ちゃん!!」
「ははは……」
あたしは笑いながら振り返った。
悲しそうな顔の葵先輩が立っていた。
(先輩がそんな顔しないでよ…)
(まったく…、本当に優しい先輩だ)と思いながらあたしは微笑んだ。

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