ちぐはぐ遠距離恋愛




自分を指差し目の前で目を開く。


「お願いします!!先輩にしか相談できません」


そんな先輩にあたしは手を合わせた。

結局、頼るは…経験者の葵先輩!!



「んー、何すればいいって言われると…っ」


葵先輩は首を傾げる。


「というか、どうしていきなり?」

「それは…っ」



「諒太も感じてくれるのかな…って思ったんです」
なーんて、あたしの口が動くわけなかった。

一瞬口を閉じて、また開いた。


「あたし、フラれたんです……」

「そっかぁ…………って、えぇ゙ええ゙?!」

「声大きいです!!」


あたしは葵先輩の体を掴んだ。

それに反応したように葵先輩は口を押さえた。


「う…ゴメン」

「いや、確かに驚きますよね?

あたしもまだ、実感湧いてなくて…」


いや、違うな―――

実感なんて必要なくて……




(だって実感、もう既に湧いてたようなもんだもん…)


「湧いて来ない……じゃなくて、湧いてたの間違えです」

「真白ちゃん……」

「だから、あたしが離れようと思ったんです」

「………そっか」


先輩はぎこちなさそうに笑った。

それでも優しい顔だった。


「でもあたしと諒太って、やっぱり接点が先輩達程ないんですよね」

「リョウタって、言うんだ」

「え?」



先輩が口角をあげた。

まだ失態に気がついていないあたしに、先輩はまたふふっと笑みを零す。